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リレーエッセイ

男性が介護するとき

毎日の何気ない生活の中、当たり前のことが、当たり前のようにできることのありがたさを、あなたは感謝されたことがあるでしょうか? 生きる喜び、いのちの大切さを考えたことがあるでしょうか。

私は、平成元年に潰瘍のため十二指腸に穴があき、緊急手術の結果一命をとりとめました。43歳の時でした。それ以後は「生」に対する考え方が一変し、人の役に立ちたい、残りの人生は求めるより与える人生にして、精一杯生きようと決心しました。

ちょうどその頃、足の骨折や肺炎など入退院を繰り返していた母に、まだらボケの様子が見られるようになり、認知症ではないかということで、退院後施設に預けることにしました。私は仕事をしながら週1〜2回、見舞いに行きましたが、そこでは夜の徘徊があるらしく、ベッドに手足を縛られた跡がありました。「こんなことでは母親に申し訳がない」。介護のかの字も知らない私でしたが仕事を辞め、色々な方に教えを乞いながら介護に専念することにしました。

しかし、自分を生んでくれた母親と言えどやはり女性。私は男性ですので戸惑いがありました。それでも「これが自分の仕事だ」と思い定め、自己流で介護に挑戦する日々が始まり約10年、終わりの見えなかった母の介護は幕を閉じました。

母が亡くなった後は、自分のために色々なことをし始めました。昨年は介護ヘルパーの資格を取得。介護は女性の専売特許のように思われがちですが、母の介護の経験から考えると、男性の方が適している仕事も色々あります。それにしても講義を受けてみたら、本当に無知なまま母の介護をしていたことがわかりました。肉親だからできたのだなぁと思うと同時に、母には「勉強不足でごめんなさい」と言いたい気持ちです。

今は資格と気力を生かし、自分を求めて下さる人にできるだけこたえたいと、がんばっています。

(三浦光義/ヘルパー)

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