和歌山大学紀南サテライト 西川一弘

なまけん会南紀熊野にて企画説明
なぜ今回、南紀熊野に日本ボランティア学会を誘致したのか。究極的には、さまざまな人の出会いと繋がりで「この地に」となった訳ですが、事務局担当者としての思いもありますので、述べさせていただきたいと思います。少しお付き合いください。
私は2008年4月より和歌山大学に特任助教・地域連携コーディネーターとして、紀南サテライトへやってきました。前職は、NPOの中間支援、地域のまちづくり支援機関であるわかやまNPOセンターで事務局を勤めておりました。青臭いですが「和歌山を変える」とのミッションを持っております。それは、地域の住民が「幸せ」(=生活の質の向上)に生きられる社会をつくること、おかしいことはきちんと是正される社会をつくること、当たり前のことが当たり前になる社会をつくることだと思っております。社会を作るのは住民であるならば、その組織体であるNPOからアプローチをすべく、NPOセンターにおりました。
現在社会は、政界(政治)・官界(行政)・学界(研究)によって動かされていると思っています。そこに住民はいるのでしょうか。政界には選挙という最大の住民チェック・コントロール機能がありますし、完全に機能しているとは思いませんが、議会などの複数のチェック機能があります。官界にも行政訴訟などの機能はあります。
しかし、学界には政府の審議会等で発言力を持っているにもかかわらず、住民によるチェック・コントロール機能は無いと言っても過言ではありません。学界が現場の最前線で苦しむ状況に対し、適切な解決策のヒントを提示し、その解決方法を精査・検討しながら広く社会に発信すること必要だと思っておりました。そして自分自身がその一翼を担うことが出来ればとの思いから、さまざまな方々の支えによって和歌山大学に移ってきました(現在でもNPOセンター運営には副理事長として関与しています)。
今回、学会をこの地で開催するという話ですが、学会というものは研究者の専門領域の集まりで、そこに実践者は参画するも基本的には理論などの「形式知」の中で議論されてきたと思っています。「形式知」を否定しませんが、「アクション・リサーチ」(地域の問題の発見からその解決策へと至る学習方法)の手法を用いて、現場での見えない「暗黙知」や「経験」という価値にも目を向けながら、実践と理論が相互にやりとりをすることが大切だと思っております。
今回の日本ボランティア学会は、(1)経験知の科学、(2)市民主体の研究、(3)知と実践の関係づくり、という3つのキーワードを掲げ、まさに“実践と理論の協働による知の体系化“を目指しています。今回の学会誘致を機会として、さまざまな地域実践と理論を融合する協働作業を、この南紀熊野から発信したいと思っております。従来型の学会ではない、地域の学びから始まる理実双方向型の学会を、多様なセクターと住民の参画・協働、そしてしなやかなネットワークでもって開催したいと思います。
皆様のご参画、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
※若輩者の乱筆・乱文、お許しください。